このマンガを読め! 2018
「『このマンガを読め!』のアンケートの依頼が来ると、
もう今年も終わりかと思うんです」と筆者の方によく言われます。
二〇〇四年暮れにムックとして発売して以来、
これで十四回目の「このマンガを読め!」になるので
(じつは「歴史」はこの雑誌よりずっと古い)、
我々のなかではほとんど季語になっているのかもしれません。
これまでも何度か書いたようにも思いますが、
この企画を始めたのは、ぼくの個人的な理由からでした。
近所の、ある「町の書店」がなくなり、ぼくは実に困ってました。
学生時代から毎日のように通っていたので、
お店の人もぼくの好みを完全に把握していて、
「これ、Yさん好きだと思うけど」と、いろんなものを紹介してくれました。
ぼくはずっとそうやって新しいマンガに出会ってきたわけです。
それがまさかの閉店。
膨大な数のマンガのなかで、これからどうやって新しいマンガを
見つけていけばいいのか……。
そこで考えたのが、「このマンガを読め!」という企画でした。
つまり、誌上で「架空の理想の書店」を作ればいいのだということです。
もちろん実在の書店ではないからお店の人と話をしながら買うことはできません。
でも少なくとも毎年、こうして新しいマンガには出会えると思ったわけです。
架空とはいえ、「書店」ですから、当初から書影や本のデータは必須にしました。
アンケートをお願いしているのも、ぼく自身が信頼している人のみ。
あ、考えてみれば、このアンケートが会話かもしれないですね。豪華な会話だなあ(笑)。
とすると、ベストテンは、「おすすめコーナー」か。
そうかそうか。いまごろ納得したりして。
ただ、この「書店」、十四年もやってるくせに、
どうも「腰」が定まらず毎年試行錯誤しているようで、
今回からはブックデータを五十音別に並べています。
こちらのほうが本を探すのに便利だと思ったようなのですね。
今回は四十七名の方々に合計二百七十三点のマンガを紹介していただきましたが、
どれも新しいマンガの魅力があると思います。
今年も、読者のみなさんに「当書店」でお楽しみいただければ嬉しいです。