雑誌つくりの基本

「俺は『×××』がどうして売れないのかが、よく分かる。
俺が読んで、『分からないところ』が全然ないからだよ」


と、先日、知り合いの出版社の社長が言っていた。
この社長は60ちょっとの年齢である。


かつて100万部を売っていた『×××』というマンガ雑誌が、
30万部を切る部数しか売れなくなって久しい。
マンガ雑誌が全体的に売れなくなっているとは言うものの、
『×××』の落ち込みはその中でもとみに激しいと言われている。
クオリティも高く、多数の面白い連載があるにも関わらず、
『×××』が売れないのかは、「業界の謎」とまで言われていた。


その「謎」の答えは、おそらくコレですね。
少なくとも大きな要因のひとつだと思う。


『×××』は、「大学生」に向けて創刊されたマンガ雑誌だった。
その「大学生に向けた雑誌を、もはや大学生とは親と子ぐらい離れたオジサンが作っている。
これが『×××』の大きな問題」だと社長の言葉が続く。
「昔のマンガ雑誌は、出来るだけ読者とトシの近い人間たちが面白がって作っていた」
そうだ。


つまり、


「読者と近い人間が、その雑誌を作るのに一番適している」


ということだ。
これはいま改めて考えてみても、雑誌の基本だ。


今度フリースタイルから出す『anmitsu』は、
「高校生がつくる高校生のための雑誌(本)だから、いいんだよ」
なんて、社長は言ってくれたのだけど、
そういう意味では、この『anmitsu』は、
雑誌の基本はハズしていないどころか、ど真ん中。


anmitsu』の本、その名も『anmitsu book』の完成まで、もう少しですが、
社長の言葉に背中を押された気持ちがしましたよ。