山上たつひこ氏の『中春こまわり君』が発売になりました。

2004年、2006年、2008年にビッグ・コミックに掲載されたものが
ようやく本になったわけです。


がきデカファイナル』が91年2月の刊行と資料にあるので、
単行本としては、なんと18年ぶりの「新作」になります。


がきデカ』の登場人物たちは、38歳〜42歳になり、
もちろん、あべ先生や、とーちゃん、かーちゃんも歳をとっている。


僕はもちろん雑誌掲載の切り抜きを持ってるのだけど、
こうして一冊にまとまったものを読んでみて思ったのは、
意外にも、なんと「幸せ」なマンガなのだろうということでした。
登場人物たちへの山上氏の愛情がこれほど出ている作品は
これまでにないように思う。


フリースタイルで出した『喜劇新思想大系』のあとがきに、
この大島弓子の『いちご物語』が言及されていることに、
驚かれた人がいると思うけど、誤解を承知で書くと、
中春こまわり君』には、大島弓子の作品のような感動がある。
(ああ〜、いかにも誤解されそうだなあ〜)
これは一冊にまとまったから、はっきりとわかったことだと思う。


「笑わせながら泣かせる」というものが、
どんなジャンルでも最上の作品だと僕は思ってますが、
中春こまわり君』はまさにそうなってます。


これはまぎれもなく、山上氏の新境地。
語り口は、『主婦の生活』や『鬼刃流転』の発展と
見ることも出来るとは思いますが、
内容的には小説『追憶の夜』の延長線上にもあることを考れば、
山上氏はつねに新しい作品を書いているわけです。
これは本当にすごいことです。
個人的には、「ああ、本当に山上ファンでよかった」という気持ちになりましたよ。


是非是非お近くの書店でご覧ください。


追伸・『がきデカ THE BEST』第2巻も同時発売になりました。
よろしければ、こちらも、あわせてお願いします。

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がきデカthe best 2

がきデカthe best 2